主体的に活動するということ…(2021.09.14)
~運動会への取り組みから~
今年は東京オリンピックが開催され、ニュースや新聞等で活躍する選手の様子を身近に感じられる絶好の機会となりました。子ども達には、あの光景がどのように映ったでしょうか。感動や憧れ、希望…。この先、この東京オリンピックが少しでも心に残ったらよいと思います。
今年の運動会はオリンピックYearらしく、いろいろなところにそのエキスが含まれています。子ども達の観察力と表現力に驚くことも多く、保育者も子ども達と意見を交わし合い創り上げる過程を楽しみながら、種目を決めたりネーミング、動きを考えたりしています。特に、話題のピクトグラムは、子ども同士でロゴをみながら実際に動いてみたり、人形でその様子を真似て形づくりをしたりして楽しみ、年長児は自分達で考えた準備体操のなかにその動作を組み込んでいました。
子ども達や保育者のそのような姿をみると、自分で選択してやりたいことに取り組むことは、なんと力強く頼もしいことかと改めて感じます。与えられた課題を、歯を食いしばりたくさん練習し頑張って得た結果より、友だちや保育者と話し合いをする過程を経て、自分自身が主体となり目標をもって臨み当日を迎える方が、子ども達のきらきらした笑顔と充実感につながること間違いなしだと思っています。
”年長組になったら鼓隊”と思って楽しみにしておられる保護者の方もおられたかと思います。以前は、衣装をそろえ、規律よく隊形移動をする姿に感動したとの感想も寄せられていました。しかし、5歳児でも鼓隊をするには、かなりの練習が必要です。大勢で隊形を組み、歩きながらリズムをとって演奏することは、小学校になったらすんなりできることでも、5歳児の子ども達にとっては訓練が必要です。それが、この幼児期の子ども達に必要な保育なのか、保護者の要望、だれのための運動会なのかなど自分自身も葛藤し、職員とも話し合いを重ねました。
子どもは、自分で目標を設定し自分で決めたことに責任をもつことが、やる気と最後まであきらめず頑張る力を生み出す糧になります。そこに達成感を得て、生きる力に繋がるということの理解、何より子ども達一人一人が主役となり輝くことができる運動会にしようという共通理解を図り、今回の運動会への取り組みがスタートしました。 どの年齢クラスも「どんな運動会にしたい?」という話し合いから始まります。3歳児だって、しっかり意見が言えるようになってきました。日ごろの保育の積み重ねですね。どの年齢も、日ごろの活動がベースになった楽しいプログラムになりそうで、私もその創り上げられる過程をわくわくしながら見守っているところです。
保育者や子ども達の運動会に向かう気持ちは、まだまだ進行形。保育者にも経験や技術の差があり、とりわけ経験の浅い保育者は、子ども達の活動する様子をみながら、ねらいに沿って保育をすすめることは簡単なことではありません。チーム保育をすすめながら、その過程も楽しんで取り組んでいるところです。子ども達へは気持ちと心身の発達過程に配慮し、子どもにとっても保育者にとっても、心に残る運動会にしたいと思います。
保育者が主体的に保育をすすめることが、子どもが物ごとに主体的にかかわる要因の一つになると考えています。子どもも、保育者も、そして保護者の方も共に主体的である参加「共主体」の行事にしていきたいのです。日々の保育を大切にしながら、保育者にとっても子どもにとっても、やりたいことができる環境づくりを目指していきたいと思います。