節分 🌸 鬼がやってくる…?!(2021.02.03)
今日は節分。「節分」は、季節の分かれ目を意味していて、旧暦では翌日の「立春」が一年も始まりの日とされ、新年を迎えるにあたって悪霊や災難を追い払うための行事とされています。
豆は、「魔滅」に通じ、ヒイラギの葉やイワシの頭なども邪気を払う霊力があるとされ、節分には欠かせないものとなっています。保育園でもそれらを用意して、今日の日を迎えました子ども達にとって鬼の存在とはどんなものなのでしょうか。今は、鬼滅の刃の人気で鬼のイメージも少し変わっているかもしれませんね。鬼=人間に悪さをする者というイメージが多いようです。
さて今回は、節分を通したAクラス(年長児)の活動の様子を一つ紹介します。鬼にちなんだ絵本を読み始めると、「先生、もうやめて~」「早く終わって!」と、途中で終えてほしい様子でしたが、自分の身体(心)のなかにも悪さをするものがいるということを知った子ども達。鬼への恐怖心が大きく、話し合いをするのも一苦労でしたが…。
鬼が嫌いな”やいかがし””について調べて、本物そっくりに作り始めました。昨日までには園内いたるところに貼って準備万端。
鬼の面の製作活動を始めるにあたり、自分の姿や生活を振り返り、自分のこころにいる悪い鬼を追い出そうという話し合いの場面での一コマ。例年なら「おこりんぼう鬼」「なきむし鬼」「好き嫌い鬼」などいろいろな心の中の悪い鬼をお面にして制作するのですが、今年のAクラスが製作しお面は、心の中にいる退治したくない鬼でした。「泣いた赤鬼」の絵本をみて、やさしい鬼もいるとわかり、ほっと一安心。
「家に持ち帰る鬼のお面」は自分の家に連れていく鬼だからと、出来上がったお面はどれも明るい表情をしていました。自分の生活を振り返りながら、自分のいけない部分、直したいところに加え自分の良いところをみつめ考える機会にもなりました。子どもは子どもなりに一生懸命考えて生きているんですね。
そして、今日。例年のように保育園に鬼がやってくると、ドキドキと不安で登園してきた子が多くいました。玄関ホールで豆を炒るといい匂いが保育園中に広がります。これで鬼をやっつけれるね!と意気込む子がいれば、いよいよか…と不安が募る子。どこからも入れないようにと、鍵の確認をする子などなど。「先生、自動扉になったから鍵かけれん。どうするが?」と不安気に尋ねてくる子もいて、状況理解ができていることにも感心しました。
そして、それぞれやっつけたい鬼に豆に見立てたボールを投げ終え、身構えているところに送られてきた鬼からの巻物。
節分といえば「鬼」。「鬼」は一般的には悪いもの、怖いものという認識があり、ただその存在に怯えてなんだかわからないけど怖いと思っている子が少なくありません。見えない鬼に対して、イメージを膨らませながら、この巻物のメッセージを素直にしっかり受け止めていた子ども達の姿が印象的でした。今年は、「鬼のお面を作る活動」を通し「鬼」と向き合うことで、自分のなかの悪い部分、良い部分を子どもなりに分析して考えるという経験となったと思います。それぞれの子どもの発達過程において、受け止め方は違いますが、このような経験を積み重ねながら心身ともに健康で豊かな感性が培われていくと感じています。
鬼がコロナ退治に奮闘してくれているもの嬉しかったようです。みんなでコロナに打ち勝とうとする気持ちを改めて強くし、「手洗いがんばる!」「消毒しとるよ」と話していたのも鬼さん効果でした。
行事を保育の中に取り入れる時、それぞれの年齢担当保育者(担任)は、当日だけでなく事前からそのあとの活動を通して、子ども達に伝えたいことや感じて欲しいこと経験して欲しいことなど、めあてを考え子どもの姿に沿いながら活動をすすめています。今回はそんな様子が少しでも理解していただけたら幸いです。
日本の伝統行事は家庭でも大事にして欲しいものです。家庭でも今日の出来事を話題にしながら、お子さんの育ちを実感し、共有していきたいと思います。
そして、鬼が保育園においていった鬼のパンツ…!これをどうしようかと考えたAクラス。「Rくんが、こわくないって言ってたからRくんの家に送ろう」「閻魔さまの郵便ポストに入れよう」「宅配便で鬼に送っちゃえ!」といろんな意見がでたようです。そんな中、Sちゃんが「玄関のおとしもの置きがあるやろ?そこにおいたら?」と。そこから、「そこじゃ、鬼がまた入ってくるから、外に置いたらいいと思う」「おとしものって書いてあったら、やさしいよね。やさしい人は連れて行かれんし、それでいいんじゃない?」「先生、玄関の鍵は締めておいてね」と、話がまとまってきました。
話し合いの活動は、自分の意見を主張するだけでは成立しません。相手の話を聞くこと、自分の意見を相手に伝えようとする表現力が必要になってきます。これは年長児になったらというわけではなく、小さい年齢から少しずつ身につく力です。最近は、1歳児の子ども達も言葉が出てくるようになっています。集まりで絵本や保育者の話をきいて言葉を発する子に保育者が応答することで、一人ひとりが友だちの様子をみたり聞いたりする経験をしていきます。友だちの存在も感じながら、園での生活が豊かなものになるように。
立春を迎えてもまだまだ雪のたよりが聞かれ、まだ春遠からじといったところですが、今年度もあと2か月を切りました。年度のまとめの時期として遊びも生活も充実した日々が過ごせるよう配慮していきたいと思います。